尊敬する鹿毛会長、友人の皆様、
九州日中平和友好会は長年にわたって中日平和友好の信念を堅持し、歴史への正視と侵略への反省を促し、中日交流を促進し中国留学生を支援するなど、多くの有意義な活動をなさってくださいました。中国駐福岡総領事館を代表し、心から感謝の意を表します。
本日の講演のテーマは「中国式現代化とその世界的な意義」です。
去年中国共産党第20回全国代表大会の戦略的決定によりますと、新中国建国100周年の今世紀半ばごろまでは、中国の中心的任務は、社会主義現代化強国の建設を全面的に完成させ、二つ目の百年目標を実現し、中国式現代化をもって中華民族の復興を全面的に推し進めることです。
中国式現代化は、百年に渡る中国の発展の道のりにおいて、必然的な選択肢であります。鴉片戦争後、中国の多くの愛国者が国家を救うために西洋に現代化の道を求めましたが、挫折し、民族を危機から救い出せなかったのです。中国共産党が誕生してから、中国人民をリードして新中国を建国し、独立自主的な現代化の旅に乗り出しました。中国は極端の貧困状態から世界第2の経済大国、第1の商品貿易大国、第1の外貨準備大国となり、世界最大の義務教育体制、社会保障体制、医療体制を整え、先進国が何世紀かけて歩んだ工業化の道のりを、数十年で駆け抜けて、時代に追いつきました。
中国共産党の第18回全国代表大会以来、習近平同志を核心とする党中央の強いリーダーシップのもと、中国は経済の急速な発展と社会の長期的な安定という「2つの奇跡」を書き続け、絶対的な貧困問題を歴史的に解決し、全面的な小康社会を築き上げ、中華民族の復興が不可逆的な歴史的プロセスに入りました。
中国式現代化は、各国の現代化に共通する特徴を持つだけでなく、中国固有の特色もあります。中国式現代化は、人口規模の巨大な現代化であり、全人民が共に豊かになる「共同富裕」を目指す現代化であり、物質文明と精神文明のバランスがとれた現代化であり、人と自然が共生する、調和がとれた現代化であり、平和的発展の道を歩む現代化でもあります。
中国は世界最大の発展途上国でありながら、常にでグローバルな視野を持ち続けています。現代化の実現は「自国優先」のためではなく、自国の発展を実現するとともに、世界の平和にさらにポジティブエネルギーを注入し、世界の発展に新たな機会をもたらすことを目指しています。
第一に、人口規模の巨大な現代化は、世界経済の回復により強力なエネルギーを注入するでしょう。中国は人民中心の発展理念を堅持しています。改革開放以来、約8億人が貧困から脱却し、4億人以上が中間所得層に入りました。現在の中国は、140以上の国と地域の主要な貿易パートナーとなっており、毎日3億2000万ドルの中国の直接投資が世界に流れ、月には3000以上の外資企業が中国に進出しています。過去10年間、中国の成長による世界経済成長への寄与率がG7諸国の総額を上回りました。中国の14億人の現代化を実現すれば、既存の先進国人口総数の10億人を超え、世界経済へ大きな原動力をもたらすでしょう。
第二に、全人民が共に豊かになる「共同富裕」を目指す現代化は、各国の共同発展により広い道を開くことでしょう。中国は全人民の共同繁栄を追求し、世界の人々と共に繁栄し、各国と共に発展することを望んでいます。「一帯一路」やグローバル発展イニシアティブは、私たちが国際社会に提供する公共財であり、共同発展と共同繁栄を実現するためのオープンなプラットフォームでもあります。これらのイニシアティブは、10年間で3000以上の協力プロジェクトを生み出し、投資規模が1兆ドル近くに達し、沿線国で42万の雇用を創出し、多くの国の人々のため、「鉄道の夢」、「橋の夢」、「貧困脱却の夢」を実現しました。
第三に、物質文明と精神文明のバランスがとれた現代化は、人類社会の進歩に良い未来を切り拓くでしょう。一部の国は経済と科学技術を高度に発展させた一方で、資本中心主義、物質主義の浸透、精神的、倫理的な混乱が出ています。習近平主席は、現代化の最終目標は人間の自由かつ全面的な発展を実現することだと強調しています。人間の全面的な発展は、物の豊かさだけでなく、精神の豊かさも含まれるでしょう。
第四に、人と自然が共生する、調和がとれた現代化は、クリーンで美しい世界の構築に実現可能な解決策を提供するでしょう。工業文明時代以来、人類は巨大な物質的財富を生み出す一方で、自然資源の搾取をも加速させ、地球の生態系のバランスを崩し、人と自然の根深い矛盾がますます顕著になっています。近年、気候変動、生物多様性の喪失、砂漠化の進行、極端な気候現象が頻発し、人類の生存と発展に深刻なチャレンジをもたらしています。習近平主席は、「目を守るように、自然と生態環境を保護するべきであり、人と自然の共生の新たなパターンを探求しなければならない」と指摘しています。
中国は緑の山々こそ金銀の山だという理念を堅持し、生態文明建設を大いに推進し、成果を収めています。例えば、人工造林の規模は世界一で、世界の1/4を占めます。再生可能エネルギーの開発利用規模は世界一で、風力発電および太陽光発電の設備容量が世界の1/3以上を占めます。EV車の生産販売台数は世界一で、世界の半分以上の新エネルギー車が中国で走っています。さらに、世界に対して、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルを厳かに約束しました。
第五に、平和的発展の道を歩む現代化は、世界の平和と安定にさらなる確実性をもたらすでしょう。中国は覇権に恐れず、覇を唱えることも決してありません。歴史上最も強大な時期でも、「覇を唱える」ことはありませんでした。「平和な発展の道を堅持する」という原則を憲法の中に書き入れ、核保有五大国のうち、核兵器の先制不使用と約束した唯一の国です。20以上の多国間軍縮条約に加入し、五大国が核戦争を防止するための共同声明に向けて努力しています。国際紛争に対しては、協議と対話に基づき、平和的な解決を提唱しています。中国の仲介により、サウジアラビアとイランの国交が回復し、より多くの国が和解の道を歩む先駆けとなっています。事実は、中国が現代化に邁進することは、平和の力の成長であり、正義の力の強化でもあることを証明しています。
ウクライナ危機は1年以上続いています。この危機は私たちが望むものではありませんし、中国は他の関係者と同様に、紛争の拡大化と長期化に懸念を抱いています。中国はウクライナ危機の当事者ではありませんが、ただ傍観することなく、火に油を注ぐこともなく、さらには火事場泥棒を働くことにも反対しています。中国が行っていることはすべて、「平和を勧め、対話を促す」という言葉に集約されます。
実際、衝突が発生した翌日から、習近平主席は対話を通じて政治的な解決策を模索することを提案してきました。ロシアとウクライナが何回も交渉し、重要な進展を遂げ、平和協定の枠組みの形が一時的に見えてきました。しかし残念なことに、交渉は中断し、すべてが元の木阿弥となってしまいました。一部の勢力は、交渉の成功を望んでおらず、停戦することに関心を持っていないようです。彼らはウクライナの人々の生死を気にせず、ヨーロッパに与えられる損害も関心を持っていません。彼らにはより大きな戦略的な企みがあります。
中国は、この衝突が続くべきではないと強調してきました。ウクライナ危機1周年を迎えるにあたり、「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」という文書を発表しました。中国は、すべての国の主権と領土保全を尊重すべきであり、国連憲章の趣旨と原則を遵守すべきであり、各国の合理的な安全上の懸念を重視すべきであり、危機の平和的解決に有益な努力は支持されるべきだと主張しています。また、核戦争はしてはいけない、核戦争には勝者は一人もいないと重ねて表明しています。民間の核施設の安全を保障し、原子力発電所への攻撃に反対し、生物化学兵器の使用に共同で反対することを呼びかけています。私たちは各国と共に、引き続き平和の努力に取り組み、早期に平和を実現することを望んでいます。